先日、ネットである投稿を目にして、深く考えさせられました。
祖父が米農家だったというある方のお話で、田んぼに入るときはいつも「靴を脱げ」と言っていたそうです。土に敬意を払い、一粒の米にも神様が宿ると本気で信じていた——そんな話でした。
実際にそのおじいさんは、台風で稲が倒れても、泥に膝まで浸かりながら少しでも助かる稲を探し、腰が曲がっても、暑くても寒くても、稲を育て続けていたそうです。
その想いと行動の深さに、僕はどこか自分の姿と重なるものも感じたのと同時に、これって、どう考えればいいの?という思いも横切りました。
僕も、「想い」を大切にしながらものづくりをしている人間です。
SHIFTPOiNTという屋号で、カビやマイコトキシンのリスクに配慮した「カビなしコーヒー」という、身体に良い商品を販売しています。
これはただの「カビなし」商品ではなく、健康とパフォーマンスに真正面から向き合うために生まれたコーヒーです。手間もコストもかかるけれど、それでも妥協せずに作ってきたのは、「自分自身が本当に飲みたいものを届けたい」という、ある種“頑固な想い”があるからです。
でも、この祖父の方の行動で、ふと思うことがありました。
もし、あのおじいさんが、あの嵐の中で田んぼで倒れていたら?
もし、僕が「想い」だけで走りすぎて、事業が続けられなくなったら?
それは本当に正しいことなのか?
日本には、「頑張ること」が美徳とされる文化があります。でも、どんなに美しい想いがあっても、ビジネスは数字の世界なので、それ故、「美学だ」けでは続かない世界でもあります。利益が出なければ継続はできないし、継続できなければ想いも届け続けることはできません。だから最近、僕はこう考えるようになりました。
「想いを貫くこと」と、「稼ぐこと」は矛盾しない。むしろ、両方があって初めて持続可能になる。
SHIFTPOiNTの「カビなしコーヒー」は、まさにその両立に挑戦している商品です。
味、香り、成分、安全性——そのすべてにこだわりながら、「どうやって伝え、どうやって売るか」という仕組みを日々試行錯誤しています。
ただ美しい話で終わるのではなく、それを「買ってもらえる商品」に変えていく。
そのためには、ブランディングも、マーケティングも、時には数字との冷静な対話も必要です。
だから、稼いだ人が勝ち、なのか?
こう書くと、「結局は稼いだ人が勝ちか」という言葉が頭をよぎります。
確かに、それもひとつの真実でしょう。
でも僕は、最近、「想いを、形にして、持続可能にできた人が勝ち」だと。
お金は目的ではなく、手段。
想いを続けるための燃料。
そして、その想いが他の誰かの人生を少しでもよくするなら、それは誇れるビジネスです。
今、SHIFTPOiNTでは「京都スタイル カビなしコーヒー」や「カフェインレスの烏丸wakeup」など、いくつかのラインを展開しながら、どれも想いとクオリティを両立させるチャレンジをしています。
僕たちが届けたいのは、ただのコーヒーではなく、“選択肢”です。
日々の中で、自分の体と心に正直になれる選択肢。
この記事を読んで、「自分の想いをどう形にしていくか」で悩んでいる人がいたら、少しでも力になれば嬉しいです。
「頑張る」と「稼ぐ」は、両立できます。
それを信じて、今日も僕は、また一杯のカビなしコーヒーを淹れます。