◆ Owned Media とは?
SNS全盛の時代にあえて「Owned Media(自社メディア)」の必要性を語るのは、もはや古い話のように思えるかもしれません。
しかし、SHIFTPOiNTという小さなブランドを運営している僕にとって、この“自分でコントロールできる発信の場”がどれほど重要かは、営業妨害を受けて初めて骨身にしみて理解しました。
今回は、その本質と意味を、できるだけ率直に書き残します。
◆ 声を届ける拠点
僕がOwned Mediaの重要性を強く意識したのは、外部の“誰か”に評価や説明を委ねるリスクに何度も直面してきたからです。
最近ではInstagramやX(旧Twitter)、LINEなどのプラットフォームが主流ですが、それらはあくまで“借りもの”。アルゴリズムの変化や外的な通報によって、突然投稿が非表示になったり、最悪の場合はアカウントごと消されることさえあります。
それに対して、Owned Mediaは、自分たちの意思で発信し、説明できる“場”です。
誤解や中傷が起きたとき、外部メディアに期待するよりも、自分の言葉で、自分のメディアで語ることの方が、ずっと信頼を得やすい。
◆ 実際に起きたこと — 2024年6月、2025年1月
今年1月、当社の製品に対して「“カビなしコーヒー”という名称が紛らわしい」という趣旨の申し立てが Amazonに寄せられ、一時的に当社製品が販売停止となる事態が発生しました。
すぐに該当人物が頭に浮かびました。やはり、案の定、犯人はその当該人物でした。この人物は同業他社、同じ「カビなしコーヒー」と謳っている人物です。
なぜ、すぐに頭に浮かんだか?
それは、前年の6月にも、虚偽レビューを投稿された事に始まります。あまりにも酷いレビューがあり、これは明らかに故意的なものだと判断して、社内で調査を進めました。
すると、その当該人物に行きつきました。さらに調べると、発信している当該人物のSNSでは、クリーンで誠実な人物として雰囲気を演出していました。
社内では、表(SNS)と裏(Amazon seller)の顔があまりにも違いすぎて、「このような事をする人間が本当にいるんだ」という、驚きと失望が広がりました。
当該人物が当社に対してしたことは、次のような行為です:
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自身が酷評されたレビュー文の一部を使って、当社製品へ流用しレビューを投稿
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2回購入して1件はキャンセルしつつ、2件とも酷評レビューを投稿(購入日:2024年5月9日 寺町gate豆/5月23日 先斗chop粉)
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FBA発送にも関わらず、ショップレビューで「破損があった」と虚偽申告(Amazonによって削除されたが、履歴は残っている。それに1つは購入後すぐにキャンセルしているので、なんで配送がダメとかなのか、意味がわからない)
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他社製品(同業者)に対しても同様の行為をしていた
このような経緯があったため、2025年1月の件についても、すぐに「またか」と察しがつきました。(※この昨年の6月の事象では、エビデンスを整理しAmazonへ報告、当該人物の商品は約2週間出品停止の措置を受けました。)
ただ、今回はより計画的で悪質なものでした。時系列にまとめるとこうです。
◆ 時系列
• 2023年3月17日
藤井秀学氏が「カビなしコーヒー」を商標出願(商願2023-029173)
→ 特許庁が「一般名称である」として登録拒否
• 2024年5月9日
当該人物が当社商品「寺町gate豆」を購入し、酷評レビュー投稿
• 2024年5月23日
同人物が当社商品「先斗chop粉」を購入し、酷評レビュー投稿
※ 2回購入のうち1件はキャンセル、にもかかわらずの両方に酷評投稿(商品&ショップレビュー両方なので、計4つのネガティブレビュー)
• 2024年6月
虚偽レビューや他社製品への同様行為が判明
→ 当社がAmazonにエビデンス提出 → 当該人物の商品が約2週間出品停止
• 2024年6月19日
当該人物が「◯◯カビなしコーヒー」を商標出願(接頭辞を付けた形)
• 2025年1月9日
当該人物の商標登録が完了
• 2025年1月17日 17:09
Amazonから当社へ「当該商標と紛らわしい」との通報による販売停止メールが届く
つまり、一般名称をあえて装飾して登録完了した接頭辞をつけた「◯◯カビなしコーヒー」という名前を盾に、当社に対して攻撃するという構図です。
Amazon からの報告詳細を読むと、当社の商品が当該者出品の商品と似ていて、購入者に取って間違いがある恐れがある、との内容で提出しておりました。
弁理士と調査を進めていた際、その経緯が一本につながり、「なるほど、すべて計画的だったのか」と苦笑いしたのを今でも覚えています。
それと同時に、心の中で思いました。
「パッケージ色、社名、商品名、コンセプト、何1つ取ってもお客さんは間違わないよ。それより、当社とコンサルタントで考えたネーミング等、(100歩譲って)少しくらい変えればいいのに、そのまま真似ているのは誰? それに接頭辞に使われている、そんな言葉自体、当社は絶対に使わないよ」
っと、思いました。
Amazon で販売している限り、真似る行為は防ぎきれないと諦めておりますが、このような稚拙なやり方は看過はできません。
◆ 証拠と誠実さで対応する
僕はすぐに、エビデンスを整理し、Amazon に理路整然と事情を説明。
さらに弁理士に弁護士を紹介して頂き、法的対応を準備。通報者本人にも「営業妨害である」と明確に伝えました。
その結果、相手側は通報を取り下げ、当社の商品は翌日に回復。
この経験を通じて、あらためて痛感しました。僕らには、「真実を語る自分たちの場所」が必要だと。
◆ SNSでは「クリーンな顔」をしていても
残念ながら、SNSの世界には「見せかけの誠実さ」を演出することに長けた人もいます。表ではやさしく丁寧なトーンで投稿し、裏ではレビュー攻撃や申し立てで他社を貶める。
こうした行為が見過ごされていくと、健全な市場や、本物を求めている消費者にとって大きな損失となります(※ ちなみに、この当該人物は、今でもSNS上ではクリーンなイメージ人物像を作っています。)
◆ だからこそ、Owned Mediaの意義がある
僕たちSHIFTPOiNTがやってきたことは、とてもシンプルです。
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カビなしコーヒーという概念を広げる
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クリーンで健康的な製品をまっすぐ届ける
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小さな声でも、真実を語る
派手な広告や、過剰な演出をせず、実直に向き合ってきたからこそ、いざという時に、「ちゃんと話せる場所」が必要になる。今回の件も、もし、自社発信装置が無ければ、当社の言い分は世に伝わらなかったです。
◆ 媒介としての “メディア”
「メディア」とは、ラテン語でmedium “中間” “媒介”を意味する言葉です。
情報を届けるだけではなく、人と人、社会と個人をつなぐ“媒介”としての責任を持つ場でもあります。SHIFTPOiNTにとってのメディアも、単なる販促ではなく、“何を信じ、どう生きるか”を共有するための場であり、価値観の媒介として位置づけています。
僕たちは、ただ正直に、いいものを作って届けたい。
「カビなしコーヒー」も、「SHIFTPOiNT」というブランドも、すべてその想いから生まれました。
・フェアにやろう。
・誠実に語ろう。
・評価されるべきものが、きちんと評価される社会をつくろう。
その第一歩が、「Owned Media」であり、このブログであり、SHIFTPOiNTの“声”です。