軸を磨き続ける
SHIFTPOiNTを始める前から、「コーヒーを作る」という行為は、僕にとって仕事である以前に、“生活そのもの” になっていました。
毎朝の身体の反応、焙煎時の香りの微細な変化、口に含んだ瞬間の温度差がどう味に影響するか──そんな小さな変化を、ずっと確かめ続けてきました。
それは、自分の体との毎日の会話です。
SHIFTPOiNTを立ち上げてから2年。
商品が増えても、応援してくださる方が増えても、根本はひとつ。
「つくり手として、自分が納得できる味を出す」
それだけです。
僕は、自分の感覚が鈍らないように、定期的に北米のブランドのコーヒーを取り寄せています。Purity Coffee、Kicking Horse、Ruta Maya、Bulletproof、Mayorga Organics……
この辺りは特にチェックしています。
目的は2つ。
- 舌と感性のアップデート
- 各社の“味”や“思想”がどう変化しているかの観察
今回は久しぶりに、Bulletproofのサイトから直接購入しました。
日本で買える商品(Mentalist, Original)もありますが、まだ現地でしか買えないラインが多いので、個人輸入です。
言わずと知れたDave Asprey氏が創業したブランド。
10年以上、「クリーンなコーヒー」「脳と身体のための設計」を提唱してきた代表格ですが、最近は“大きくなりすぎて品質が落ちたのでは?”という声も耳にします。
※ たしかに、これは、買い続けていればわかりますね、兆候が味に出るので。
あるブランドは“完璧なクリーンさ”を追い、
あるブランドは“野性味と深み”を追い、
あるブランドは“日常性・飲みやすさ”を大事にする。
飲むと分かります、「この会社はどこに軸を置いているのか」 が。
SHIFTPOiNTも同じ。
僕自身の背骨は、「健康という言葉を飾りではなく、毎日の選択として扱う姿勢」。
そこから、焙煎も、選別も、言葉も決まっていきます。
ただし、背骨は磨き続けないと鈍ります。
だからこそ、世界の“本物”を飲んで、自分の軸がぶれていないか確かめる。
※ これは、サル真似ばかりしている “井のなかの亀” には一生わからないでしょう。
■ 職人 × 感性のハイブリッド
僕のやり方は、職人のように焙煎と選別を突き詰めながら、
同時に「身体の反応」や「生活へのフィット」も重視する。
コーヒーは生活の一部です。
忙しいビジネスパーソンや、毎日育児と向き合う方たちの生活に、一瞬でもいいから、静寂な時間を作りたい。
SHIFTPOiNTの思想はここにも重点を置いてます。
だから、そこからズレないように、自分の「感性」も磨き続けています。
また、味だけでなく、僕は “その裏にある思想” を必ず見ます。
- どんな理念で選豆しているか
- 焙煎中、何を優先しているか
- 身体への負荷と香りのバランスはどう考えているか
- 言葉の背景にどれくらいの経験があるのか
見えないところにこそ、本質が出る。
SHIFTPOiNTが持つ軸も、そうやって磨かれてきました。
だから、その場しのぎで寄せてきた商品はすぐに分かります。
=(イコール)稚拙で幼稚な模倣しかできない “井のなかの亀” もすぐに分かります。
■ 世界の“本物”を飲む理由は、ただひとつ
外の本物を知るほど、自分の軸がクリアに見えてくる。
「ここはもっと深くできる」
「この香りは、まだ伸ばせる」
そして、愛飲者の生活リズムを想像しながら、
「お母さんもたまにはコーヒー飲みたいよ」
「忙しくてキャンプ行けないけど、なんか焚き火的なコーヒー飲みたいな」
そんなシーンを思い浮かべながら、作ってます。
だから、僕はSHIFTPOiNTのコーヒーを、「ただ売りたい」と思ったことは一度もありません。
判断基準はつねに同じです。
” 愛飲者が喜んでくれるか ”
” 次の朝、また飲みたくなるか ”
” 身体が自然に欲する味か ”
” 生活に馴染む香りか ”
だから世界のブランドを取り寄せ、研究し、SHIFTPOiNTという “小さな焙煎所の軸” を磨き続ける。
いつか、誰かの人生のどこかで、
「SHIFTPOiNTのコーヒー、なんか良かったな」と思い出してもらえるなら、それほど幸せなことはありません。
職人としても、商人としても、冥利に尽きます。
そして、もしこの記事を読んで、「この人のコーヒーを飲んでみたい」と思ってもらえたなら、それが何より嬉しい。
SHIFTPOiNTは、これからも“本物の軸”でコーヒーを作り続けます。